滔想 tōsō

開設 2023年1月17日 火曜日 午前3時51分58秒

あれから一年

 新型コロナウイルスの様々だけでも面倒な状況だというのに、それに加えて長年燻っていたロシア・ウクライナ間の抗争が激化して本格的な戦争になってしまうとは想像していなかった。そしてそれが一年も続くことになるとは。

 

 当初、ロシアが圧倒的に優勢でキエフが陥落するのは時間の問題だという報道ばかりが続いていたのに、少し経てば今度は真逆になり、ロシアはじり貧状態に陥っていて、キーウは怒涛の勢いに乗じて東部を奪還し、あわよくば併合されたクリミアまでも手中に収めるのではとの情勢が語られるようになった。

 何れにせよ、もうすぐ間もなくという言葉が踊るだけ踊って、結果はこの有様だ。

 これだけ毎日、日本の情報について目一杯の言葉で伝えられているのを見ているのにも関わらず、国内の政財界の本質的な動向など表に出てくることは皆無に等しく、取り敢えずの理解にさえ苦しむというのに、ロシアにもウクライナにも詳しくない自分がこの戦争について語れることなど何一つ無いと思っている。

 自分なりに脳内で纏めてはいるものの、それを言葉にするのは簡単ではない。私独特の思考回路が前提になっているので、そこから語ろうとすれば一つの論文並みの量になってしまうだろうし、しかも専門家でもない私が紡ぎ出す言葉など稚拙で誤謬塗れになるのが落ちだ。

 

 ただ庶民の身としては、こんな騒ぎに巻き込まれて命を落としたり、生活をぶち壊しにされたりしている人々が居るという現実に嫌気が差す。殺意が行き交ったり血が流れたりという点においては、日本に住んでいればこの出来事を対岸の火事として見なすことが出来るだろうが、それは現時点ではというだけであって、たった二桁の年数を遡ればそこに確実に存在した様相であるし、残念ながら未来永劫この国が平和で在り続けられる保証など何処にもない。

 力も正確な情報も無い蒼氓は、まるで天気の様に扱われる社会環境の変化に一喜一憂し慌てふためくだけだ。

 

 戦闘が終わっても、憎しみは続く。ロシアとウクライナの間で、この一年どれだけの怨嗟が生じたことだろう。

 インターネットで世界が繋がり、手元の端末で瞬時に情報のやりとりができる様になり、AIがすぐ隣に居てくれる時代になったのに、未だ戦争の危険性を身近に感じながら生きなければならないなんて、本当にこの世界は狂ってる。